Lithium ion battery Backup UPS System (L-BUS)
三相200V UPS
[三相200Vインバータ]
10.5kw
[100Vインバータ]
2.5kw
[リン酸鉄リチウムイオンバッテリー]
26.88kwh
出力10.5kwとは三相(3つの線)それぞれに3.5Kwづつの出力を割り当てることで実現しています。
そのため、3.5kwの一つの相ごとに「UPS」を設置しています。
この10.5kwの出力が実は重要な意味を持ちます。
一般的に販売されている三相200Vのバックアップ電源は7kw以下(UPSはほとんどありません)です。
これは10Kwを超えると、様々な制約を受けるためです。
また10Kwを超えるバックアップ電源は、ほとんどが大型の業務用であり、基本的にオーダーメイド製品となります。
しかしながら、世の中に存在する三相200V製品の多くは3kw〜10kwなのです。
UPSの目的
UPS(無停電電源装置)は従来基本的に100Vを中心に利用されてきました。
主な目的は、デスクトップパソコンです。
現在はノートパソコンやモバイルが中心ですが、以前のオフィスはほとんどがデスクトップパソコンであったため、ニーズはありました。
また、基本的に各パソコン内にデータを格納することが主流であったため、各社はその保全を目的にUPSを利用してきました。
現状
しかしながら現在の状況を見ると、デスクトップの利用率は極端に減少し、そもそもUPSの必要性はないように感じます。
また、社内サーバー(100V)も徐々にクラウドに移行されているため、100V UPSの利用の拡大は見込めない状況です。
そのため、国内でのUPSメーカー(UPS部門)は徐々に撤退が進んでいます。
起動電力の削減
UPS機能のないバックアップ電源を使用した場合、対象機器が必要とする起動電力(冷蔵庫であれば1.1倍〜10倍)を必要とします。
定格容量が1kwの電気機器は、機器の種類によっては10kwが起動時に必要となります。
そのため、UPSではないバックアップ電源はその分の出力がなければ使えないこととなってしまいます。
これに対し、UPSは瞬断接続であるため、起動電力は必要としません。
三相200V UPSの利用価値
既に100Vの領域でUPSの利用価値は「なくなりつつある」という現状ですが、現在では逆に三相200V UPSの可能性は無限に存在する可能性があります。
三相200Vとは「動力」ですが、実はこの動力を利用した様々な機器の中で、
「止めてはダメなもの」と「可能であれば止めたくない」あるいは「止まった時の損失が大きい機器」が多く存在している事に気付きます。
UPSの種類
UPSには「インバーター方式」と「常時商用給電方式」の2種類があります。
常時インバーター方式とは
常に、電源→蓄電池→使用機器 で電気を供給します。
停電時に電源がなくとも、常に蓄電池を介しているため、機器は使い続けることが可能です。
ノートパソコンをイメージするとわかりやすいです。
メリット:常に蓄電池から電源供給されているため、「瞬断」が起きない。
デメリット:蓄電池を使いながら充電しているため蓄電池の劣化が早い。価格が高い。
常時商用給電方式とは
平時は、電源→使用機器 で電気を供給し、停電時に一瞬で蓄電池→使用機器に切り替わります。
メリット:蓄電池への負荷がないため、基本的に劣化がない。(ほぼ半永久的にバッテリーは使用可能)価格が安い。
デメリット:「瞬断」が起きるため、瞬断を許容できる機器での使用が前提(但しPCでも落ちないことは実証済み)。
26.88kwhが意味することは、例えば5kwを出力する電気機器を約5時間動かすことが出来るバッテリーの大きさを意味します。
5kwという大きさは、小さなエレベーターを動かすことが可能な電気量なので、以下に大きなバッテリーであるのかがお分かりになると思います。
以下の想定用途を参照ください。
エルバスは基本的なラインアップとしては3種類を用意していますが、要望によってはカスタマイズが可能です。
但し、現状での最大出力は10.5kwとなります。
この出力以内の機器であれば利用は可能です。
但し、バッテリーに関しては、280Ahの倍数での増設が可能であるため、BCPの策定内容に基づいてカスタマイズが可能となります。
また、100V/UPSも同時接続が可能です。
鉛蓄電池を使用すると、巨大なラックが必要となりますが、エルバスはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用しているため、
コンパクトな設計が可能となりました。
また、屋内でも屋外でも設置が可能です。
一般的に業務用の大型バックアップ電源は10Kw〜50kwとなり、蓄電池は「鉛」です。
そのため、「オーダーメード」となり巨大なラックとなります。
また、UPSの場合は価格が高くなるため、数千万単位となってしまいます。
この価格帯で中小企業が設備投資する事には無理があります。
今回のエルバスは、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとUPSメーカーが自社で構築したため、極めて安価でシステムの提供が可能となりました。
BMSとは、バッテリーの残量・電圧電流を管理することで、安全にバッテリーを制御するために必要な装置です。
また、エルバスはそれだけではなく、IOTでの管理されているため、WEBから該当バッテリーの状況を可視化管理することが可能です。
エルバスは三相200Vだけではなく、ワンユニットで100V/UPSも併用できます。
そのため、厨房等の三相200V機器と100V機器が混在する現場では1台で対応が可能となります。
蓄電池の種類は大きく分けて3種類です。
鉛蓄電池
昔から存在する最も一般的な蓄電池です。
価格的には安いのですが、容量が大きく、また鉛と希硫酸との化学反応で電気を発生させるため、室内に置くことは避けた方が安全です。(地震時は特に危険)
コバルト酸リチウムイオン電池
携帯電話に使われている高密度な電池です。
高出力で高容量ですが、価格が高く、2kwhで電池だけで50万を超えてしまいます。
また、常には発火の危険性が高いため災害時には不向きと言えます。
リン酸鉄リチウムイオン電池
近年技術が確立され、多くの蓄電池で採用されています。
価格が安く、また安全性に優れているため、災害時にはこの種類の電池が必須となっています。
但、コバルト酸よりも大きいのが唯一の難点です。
今回は災害時の停電を想定しているため、価格面及び安全面でリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載しました。
エルバスの基本的な役割です。
BCP対策として、非常時の電源は必須ですが、問題はその出力とバッテリー容量です。
停電は東京電力のホームページによると、約4時間以内に9割以上が復旧します。
この4時間を持たせるためのバッテリー容量が求められます。
さらに、BCPの基本的目的は経済活動の継続なので、必要な電気機器に対応するためには、100Vだけでなく動力も必要となります。
例えば、倉庫の「エレベーター」命を守る「空調システム」や「エアコン」食を守る「調理機器」や「冷凍冷蔵庫」などです。
特に企業にとって、生産設備が停止した場合の被害は甚大です。
生産物が生産できない場合、その次の工程へも影響し、企業の信頼を損ねる事になります。
一時的な生産物の損害よりも、全体として大きな被害を受けることになってしまいます。
エルバスは基本的に蓄電池であるため、その利用価値は多義に渡ります。
その一つが電気代抑制効果です。
例えば、電気代の安い夜間に蓄電し、昼間に蓄電した電力を利用することで、その価格分電気代を抑制することが可能です。
但し、エルバスだけでこの効果を得ることは限定的であるため、太陽光発電システムとの連携することで、より大きな効果が期待できます。
PPAモデルと利用すれば太陽光発電システムは無料で設置することが可能です。
昼間太陽光発電発電した電力をエルバスに蓄電しながら余った電力を使い、夜間その蓄電した電力を利用することで、より大きな電気代を抑制することが可能となります。
計算上、電気代は2割〜4割の削減効果が期待できるため、システム全体の価格よりも大きな削減効果となります。
この図は一つの例ですが、通常はタイマーによって蓄電池から電力供給され、非常時にも自動的に蓄電池から電力が供給されます。
このシステムにより、電気代の抑制と非常時のバックアップ電源双方の実現が可能となります。
システム的には単純なので、設置は短時間で可能です。
「絶対止められない機器」の代表例は「病院内での施術関連機器」です。
これらの機器の多くは三相200Vを利用しています。
ほとんどの病院では三相200V UPS→発電機で継続させるための「BCP」が採用されています。
次に「可能であれば止めたくない機器」として挙げられるのが「エレベーター」です。
最近のエレベーターは閉じ込め防止措置が採られているため、命の危険性そのものはないと思われますが、高層階の高齢者が停電時に利用することはできません。
そのため、継続的な利用を考えて場合にはこのカテゴリになると考えています。
また、2011年以前のエレベーターは基本的に閉じ込め防止措置が採られていないため、この場合は「絶対に止められない機器」に該当すると考えています。
他にも、「空調システム」「業務用冷蔵庫」があります。
そして、「止まった時の損失が大きい機器」の代表が、」いわゆる「生産ライン」です。
生産ラインは、各セクション機器ごとに三相200Vが利用され、途中で止まる影響は甚大です。
生産ライン停止の影響
「止めると莫大な損失を受ける」代表例は生産ラインです。
単に、生産ラインが止まったことで、ラインそのものの材料等の損失は限られています。
また、再点検や始動テスト等、時間のロスも「莫大」ではありません。
最も大きな影響を受けるのが、「後工程に対する影響」と「信用損失」です。
多くの生産ラインは、注文生産等で「納期」が厳命されています。
なぜなら、その後の「流通」→「次工程生産ライン」→「最終約束納期」はすべて詳細にスケジューリングされているため、どこか一つでも「ボトルネック」が発生した場合、「莫大な損失」を関連企業に及ぼす可能性が高くなります。
これは「金額的」な損失以上に信用の損失の影響が大きいと思われます。
BCP対策
特に「止めると莫大な損失を受ける」会社のBCPは必須です。
災害時に事業を継続するための計画を採れば防げた「事象」であるのに、計画をしていない、あるいはその計画通りに準備が出来ていない場合、大きな「信用」を失うことになります。
災害大国の日本で、災害時継続事業計画を施していない事自体、「製造業」としては失格です。
そして、その一つの側面が「停電時のバックアップ電源システム」と言えます。
エレベーターについて
平成21年9月28日(2009年)に建築基準法が改正されて、2つの装置が義務化されています。
1 戸開走行保護装置(UCMP)の設置義務
2 地震時管制運転装置の設置義務
1 戸開走行保護装置(UCMP)の設置義務
簡単に言うと、扉が開いた状態で動かさない装置です。
2 地震時管制運転装置の設置義務
※ 地震を感知した場合、強い揺れの場合は最寄りの階まで運転した後、扉を開いて避難。
点検が終わるまで停止
※ 地震が弱い場合は、最寄りの階まで運転した後、扉を開いて救助避難。
一定時間後自動的に運転再開
※ 停電時は一旦停止後、バッテリーに切り替わり最寄り階まで運転。扉を開いて避難。
停電復旧後に運転再開
2009年に改正された建築基準法によって、これ以降に設置されたエレベーターは上記2点が義務化されました。
基本的に地震時のステップはエレベーターそのものの問題になるので、エルバスには関係ありません。
問題なのは、地震時の動きです。
2009年以降に設置されたエレベーターでも、最寄りも階まで運転できる蓄電池を搭載していますが、停電を感知した時点で、それ以降の運転はしません。
つまり、停電時は閉じ込め事故は発生しないもののエレベーターは使えない状況になります。
また、2009年前に設置されたエレベーターはこの法律が適用されないため、停電時は「確実に閉じ込められます」
しかも、これが地震の影響であった場合救出には長時間を要すため、人命に関わる事になります。
エルバスの役割
エルバスは基本的にUPS機器であるため、パソコンと同じ考えです。
停電時にも普通に利用できる環境を提供する事が目的です。
2009年前でも後でも、エレベーターに停電だと認識させないための装置になります。
エレベーターに設置時エルバスの責任について
勘違いされかねない一つに、エルバスがエレベーターを「制御」する、みたいな話になりがちです。
しかし重要なのは、エルバスが制御するのはあくまでも「電源」であり「エレベーター」ではない点です。
安全義務が発生するのは「エレベーター」であり「電源」ではありません。
万が一、エルバスのUPSが機能しなかったと仮定した場合は、電力会社から供給された電力が停止したのと同じです。
その際に安全を担保するのは「エレベーター」であってエルバスではありません。
「絶対にUPS」が機能することを前提にエレベーターが設計されている訳ではないことを理解してください。
エルバス適合について
エレベーターの種類は大体4種類に大別されます。
その中で、一瞬大きいな動力が必要な種類が1つあり、それは基本的にエルバスでは動きません。
そのため、エレベーターの型番と仕様書を元に適合性を確認し、適合した後、現場にて電圧・電流テストを行い最終的に適合の可否を確認します。
想定用途 |
対象機器 |
電源 |
最大使用電力(kw) |
継続使用時間(h) |
プレハブ冷凍冷蔵庫 |
三相200V/100V |
3〜5/0.3 |
3〜4 |
エレベーター(750kg以下) |
三相200V |
3〜5 |
2〜6 |
空調システム/業務用エアコン |
三相200V |
8.4(3馬力) |
2.5 |
エアコン(20畳) |
100V |
1 |
20 |
業務用冷蔵庫 |
100V/三相200V |
0.1〜0.3 |
- |
仕様 |
品名 L-BUS(エルバス) |
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー搭載UPSバックアップ電源システム |
リチウムイオンバッテリー仕様 |
48V 560Ah |
バッテリー容量 |
26.88kwh |
インバーター出力 |
三相200V 10.5Kw |
100V 2.5kw |
筐体サイズmm(ベースモデル) |
(W)600×(D)700×(H)1907 |
重量 |
420Kg |
筐体サイズmm(ベースモデル) |
(W)600×(D)700×(H)1907 |
UPS |
30msec〜50msec(常時商用給電方式) |
地球温暖化の影響により、台風は大型化・凶暴化が顕著となっています。
その影響により、都内での停電件数も年々増加し、2020年8月データでは実に18万件以上の停電が発生しています。
また、最近の施設・住宅はほぼすべてが電気に依存した設計となっており、停電が発生した場合、通常生活を送ることは不可能となります。
停電後4時間が勝負
停電の90%は約4時間で復旧します。
その4時間を如何に凌ぐかが勝負です。
もし、食事・冷暖房等の電源が途絶えた場合、命の危険に晒される可能性もあります。
命を預かる施設にとって、電源確保は十分条件ではなく必要条件です。